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第7回原石大賞、原稿募集!

応募要項

 

今回のテーマは「不倫」

 

 

世界で一番ハードルの低い文学賞です。誰でも応募できますし、誰でも受賞のチャンスがあります。どしどしご応募くださいね~

 

今回のテーマは「不倫」ですので、

不倫に関するおもしろい物語を書いてください。

 

 

■ファンタジー、ホラー小説、歴史小説、純文学、

ライトノベル、恋愛小説などジャンルは問いません。

 

■年齢、性別、国籍一切問いません。

どなたでも応募できます。

 

■締め切り/2020年3月末日

 

■文字数/4000文字前後 (400文字原稿用紙10枚)

 

 

■優秀作品は、「文章スクール」のHPに掲載されます。

さらに文芸雑誌『原石』(Kindle出版)に掲載されます。

 

■最優秀作品は記念のタテと賞金10,000円が贈られます。

 

 

■申し込み方法

 

原稿をWordファイルにして、

下記へメールで送ってください。

 

fumiakioffice@gmail.com

 

 

■主催:株式会社高橋フミアキ事務所

 協賛:株式会社とびばこ

 

 

 

 

 

 

 

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コメント: 1
  • #1

    だいのすけ (火曜日, 31 3月 2020 23:30)

    キャンサーメール
    「こっちよ。こっち」
     と、甘ったるい声で蜂須賀峰子は言い、大げさに手を振った。謎の女「蜂須賀峰子」は、僕の憎き上司「有喜川」を地獄に落としてくれた。今日はその報告を兼ねて最寄り駅近くのカフェで会う約束をした。桜の蕾がふくらみはじめた休日の午前だった。だが僕は半信半疑だった。
     峰子は真っ白なひざ上のワンピースを着ていた胸も強調されていて、僕は目のやりばに困っていた。彼女の裸のフォルムもわかるような服装、スタイルは抜群だ。しかし年齢は謎だ。若く見ようと思えばわかく見えるし、そうじゃないと思えばそうじゃなく見えた。そんなことを僕が思っているのを知ってか知らずか、彼女は少しニヤッとすると、長いストレートの髪を一度かき上げると、ウエイターを呼んだ。アルバイトだろうか、彼も目のやりばに困っているようだった。
    「わたしは、ホットコーヒー! 鎌田さんは?」
    「じゃあ、僕も同じので」
     ウェイターは頷いてキッチンに戻った。
    「自分の意見がない、選択ができない人は上にはあがれないわ」
    「どういうことですか?」
    「あなたは、さっき『同じので』って言ったわね? どんなに小さいことでも自分で選択することは大事だわ。わたしはいろいろな人を見てきたけど、そんな選択をするような人は上にはあがっていないわ。あなたも上を目指すようなら、今後は『同じので』はやめた方がいいわ」
     彼女の言うことに反論しようとしたが、特に言うことばも思いつかず、僕は頷いてわかりましたと言った。
    「さ・て・と、報告しなくちゃね」
     と、蜂須賀峰子はウィンクして言った。なんだか、その瞬間、甘ったるい彼女の体の匂いが僕の鼻を刺激した。
     ちょうど、ウェイターが飲みのもを運んできたので、僕はまだ鼻に残っているその匂いをかき消すかのように、コーヒーをひとくちすすった。
    「その前に訊いていいですか?」
    「何?」
    「僕にメールを送ってくれた『キャンサー』って誰なんですか?」
     その問いに峰子はまた少しニヤっとして、「あとで話すわ」と言い、話を続けた。
     ……あなたをいじめ続けたウッキーこと有喜川課長は、明日から会社には来ないわ。ここれは約束できるわ。その前に確認のために、あなたがウッキーにされたことをおさらいするわね。
     会社でいろいろされているわね。
     出張の日当は同行者と集約して申請をいいことにあなたの分も懐に入れているわね。それに基本、行き帰りはあなただけ長距離バス、運良く新幹線に乗れても自由席、その浮いた分で自分はグリーン車、ひどいわねぇ~! それと、彼は空出張も何度しているわ。あなたも同行でね。それだけでも、年に百万円は着服しているわね。あなたが就職してから、五年になるから五百万円ね。洒落にならないわ。
     鎌田さんと仲の良かった同じ課の派遣のリエちゃんの異動も、ウッキーはあなたとリエちゃんが付き合う仲になるのが許せなかったみたいで、その前にリエちゃんを脅して異動させたみたいよ。あなたとは一切会わないことを条件に待遇も倍にしたみたい。かわいそうね。
     会社主催の忘年会、あなたはビンゴ大会で年末ジャンボ宝くじが当たって、ウッキーに強引に自分の当たったマシュマロ一袋と交換されたじゃない? あれね当たったらしいのよ。十億円だってさ。あら? 知らせない方が良かったかしら? 彼はケチだから、家族の誰にもそれを知らせずに、毎日、通帳の預金残高を見てて喜んでるらしいわよ。
     それにしても常日頃、あなたはウッキーに暴力を振るわれてたわね。知ってると思うけど、彼はボクシングのインターハイに出場したのよね。体の方はボコボコにやられてるのはわかるわ。いわゆるボディアッパーね。あれ上手な人がやると鋭角に刺さるから、下手すると内蔵やられちゃうわ。よくあなた耐えてきたわね。偉いわ。感心しちゃう……。
    「はぁ」
     と、僕はためいきなのか相づちなのかわからない返事をした。自分のことながら、こんなに不幸な人間はいないと思った。そんなに嫌なら会社なんて辞めてしまえば、いいだろうと思うかもしれないが、辞められない事情があった。父がうちの会社の業者だった。僕はコネで入ったのだ。聞こえはいいいかもしれないが、父は会社から二億円も借金をしていた。いわば僕は担保であった。しかも父は体を崩して入院中。母は僕を産んですぐに亡くなった。僕しかそれを返す人がいないのだ。ボーナスはその借金の利息に当てられ、満足にもらったことがなかった。もしかしたら、父の借金は増えていたのかもしれない。十億円の話が本当なら、僕はもう借金を完済して自由な生活を手に入れていたのかもしれない。「でもね、そんな生活もおしまいよ。ウッキーはわたしが地獄に落としたから」
    「どうやって? 地獄に落としたのですか?」
    「簡単よ。このわたしの美貌溢れるボディを見て!」
     僕は目のやりばに困りながら、峰子を見た。「このわたしを使って、ウッキーにハニートラップを仕掛けたのよ。まんまと引っかかったわ」
     ……わたしは、キャンサーから依頼を受けて、ウッキーのことを調べに調べたわ。彼の好物から性癖までね。だから、落とすのは簡単だったわ。
     面白いこともわかったわ。ウッキーは社長の隠し子だったわ。だから、ある程度のことは許されてきたのね。
     わたしはウッキーを騙して、ホテルへ行ったわ。もちろんわたしはプロだから、あんなのには抱かれないわ。いろいろ試行錯誤して、地獄に落とす材料を揃えたのよ。
     不倫を装いわたしの旦那役の怖いお兄さんを雇ったわ。それで、慰謝料請求させてもらったわ。それと、ウッキーの胸ポケットやら靴の中にいけないクスリを入れちゃったのよ。これで彼は今頃、取り調べされているわ。それで、仮に保釈されても家に帰っても不倫がばれてるから、奥さんと子どもも居ない。会社は明日で解雇ね。
     つまりウッキーは、何もかも失うのよ……。「どう? 気分はいい?」
     と峰子は妖艶な笑みを浮かべて、コーヒーをひとくちすすった。コーヒーの香りが一瞬、彼女の甘い匂いが消し、自分のまわりに漂っているような感覚を覚えた。
    「よくわからないです」
     もう、話すこともなくなり僕は帰ろうと考えていた時に、
    「そう! 彼の当たった十億円だけど、あなた名義のスイスの口座に入っているわ。あっちに行く機会があったら、見てみてね。あなたのサインだけで引き出せるわ」
     僕は、そんな口座を作った記憶がなかったので、少し困惑した。そして、
    「それじゃあ、これお願いね。もう会うことは無いと思うけど、あなたと話ができてよかったわ」
     と、蜂須賀峰子は言い僕に伝票を渡して店から出ていった。
     彼女の匂いがまだ鼻に残っていた。そういえばキャンサーのことは聞けなかった。

     一ヶ月が経った。峰子と会った次の日から有喜川は会社に来なくなった。そして僕は退職した。案外なにも訊かれなかったし、スムーズに事は進んだ。それかから父親が死んだ。急に亡くなった。
     その帰り、僕は山手線に乗っていた。僕の座っている向かい側にはおさない男の子とその母親が座っていた。
     僕は、車窓から見える満開の桜を見ていた。その時に、僕のスマートフォンがブルブル震えた。メールが着た。キャンサーからだった。
    ”これで君にメールを送るのは最後になると思う。ありがとう……。
     わたしか君に伝えられるのは、もうそれしかない。本当にありがとう。
     君にはつらい思いしかさせえられなかったかもしれないが、わたしとしては……”
     そこでメールは途切れた。
     僕は一回深呼吸をした。
     僕の向かいに座っている男の子が僕に近づいてきた。
    「これよかったらどうじょ」
     彼の手には、キャンディが握られていた。僕は「ありがと」と言い、それを手にすると、無意識に涙を流すのであった。
    (了)