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性格を生かした小説プロット

 

主人公の性格を生かした小説プロットです。

 

性格がちゃんと表現できていたら、

おもしろい物語になります。

 

ですから、性格を研究することが、

かなり重要です。

 

今回は、

浅はかで間抜けな性格についてです。

 

 

浅はかで間抜けな性格というのは、

どんな人のことでしょうか?

 

(1)目先のことしか見えておらず、

自分の行動が引き起こす結果まで

考えが及ばない人です。

 

(2)怠け者で未熟な人です。

 

(3)自信過剰で、自分の限界がわかっていない人です。

 

 

こんな人が、どんな行動をとるかを考えてみましょう。

 

一番特徴的な行動は

 

「猿マネ」です。

 

後先考えずにマネして、

失敗をするわけですね。

 

落語には、そんな話がいっぱいあります。

歴史の風雪に耐えて残っている話ですから、

 

アレンジすれば

21世紀でも十分、人々を楽しませることができるはず。

 

 

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時そばプロット

 

 

【第1段】

 

〇〇〇(主人公)は、浅はかで間抜けな性格だ。

 

たとえばこんなことがあった。

 

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

(浅はかで間抜けなことを伝える過去のエピソードを入れる)

 

【第2段】

 

そんな〇〇〇(主人公)が、びっくりしたことがあった。

 

 

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

(主人公がマネしたくなるようなエピソードを入れる)

 

 

 

【第3段】

 

翌日、〇〇〇(主人公)はマネしたくてしょうがなくなる。

 

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

(マネするが、微妙に違っていて大失敗する)

 

 

 

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『時そば』はこんなお話

 

 

【第1段】

 

熊公は、浅はかで間抜けな性格だ。

 

たとえばこんなことがあった。

 

浅はかだから先が読めない熊は、

女房が調子悪くて吐きそうになっているのを、

産気づいたと勘違い。

 

親戚から長屋から、

「ガキが生まれるんでさぁ」

と自慢して回る。

 

ご祝儀などをもらったのはいいが、

女房はたんに調子が悪かっただけだった。

 

 

また、間抜けだから詰めが甘い。

大事な仕事をもらって、

値段やら納期やらを聞いた。

 

「忘れるといけねぇから、

どこかに書いておいたほうがいいんじゃねぇか?」

 

と言われたが

 

「大丈夫。大事なことは絶対に忘れない」

と言い張った。

 

案の定、値段も納期もすっかり忘れてしまい、

大事な仕事に穴をあけてしまう。

 

 

 

 

【第2段】

 

そんな熊がびっくりしたことがあった。

 

 冬の寒い夜、屋台に飛び込んできた男、

「おうッ、花巻にしっぽく。ひとつ、こしらえてくんねぇ」

待つ間、

 

「看板が当たり矢で縁起がいい」

「あつらえが早い」

「割り箸を使っていて清潔だ」とお世辞を言う。

 

そばが出来上がると

「いい丼を使っている」

「鰹節がたっぷりきいていてダシがいい」

「そばは細くて腰があって」

「竹輪は厚く切ってあって」

と歯の浮くような世辞を並べ立てる。

 

食い終わると

「実は脇でまずいそばを食っちゃった。おまえのを口直しにやったんだ。

一杯で勘弁しねえ。いくらだい?」

 

「16文で」

 

「小銭は間違えるといけねえ。手ェ出しねえ。それ、1つ2つ3つ4つ5つ6つ7つ8つ、今、何どきだい?」

 

「9ツで」

 

「とお、11、12……」すーっと行ってしまった。

 

これを見ていたのがぼーッとした熊。

 

「あんちきしょう、しまいまで世辞ィ使ってやがら。

それにしても、変なところで時刻を聞きやがった、あれじゃあ間違えちまう」

と、何回も指を折って

 

「あ、少なく間違えやがった。1文かすりゃあがった。

うめえことやったな」

 

 

 

【第3段】

自分もやってみたくなって、

翌日、まだ早い時間にそば屋をつかまえる。

 

「寒いねえ」

「へえ、今夜はだいぶ暖かで」

 

「ああ、そうだ。寒いのはゆんべだ。どうでもいいけど、そばが遅いねえ。

割り箸を・・・割ってあるね。いい丼だ・・・まんべんなく欠けてるよ」

 

「へい、お待ち」

「そばは・・・太いね。ウドンかい、これ。おめえんとこ、竹輪使ってあるの?」 

 

「使ってます?」 

「薄いね、これは。丼にひっついていてわからなかったよ。月が透けて見えらあ。オレ、もうよすよ」

 

「いくらだい?」

「16文で」

 

「小銭は間違えるといけねえ。手を出しねえ。それ、1つ2つ3つ4つ5つ6つ7つ8つ、今、何どきだい?」

 

「4ツで」

「5つ6つ7つ8つ……」

 

 たくさん支払わなければならなくなり、男は泣きべそをかく。

 

 

 

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まとめ

落語には『時そば』以外にも、

 

『看板のピン』や『つる』や『青菜』など、

賢者のマネを愚者がして失敗するパターンがたくさんあります。

 

まずは、

このプロットを体で覚えるように、

反復練習してみてくださいな。

 

あくなき反復練習のみが、

一流の書き手を生み出すのです。

 

 

長文になってもかまいませんので、

下記の掲示板に書いたらアップしてみてください。

 

長くなりすぎたら、

2回か3回にわけてアップしてみてくださいませ~~

 

コメントをお書きください

コメント: 11
  • #1

    戸部美香 PN 夏来みか (木曜日, 14 2月 2019 23:31)

    「太郎の話」

    【第1段】

    太郎は、浅はかで間抜けな性格だ。

    たとえばこんなことがあった。
    太郎が中学生2年生のときのことだった。
    中学で一番かわいいという噂の純子に恋をしたのだった。
    あるとき、純子が同じクラスの女子と話しているのを小耳にはさんだ。
    「私、無口な人ってなんか存在が気になるのよね」
    それを聞いた太郎は、学校でできるだけ何も話さないようにした。
    話さないので純子とどうにかなるわけでもなく、純子は生徒会長の
    次郎といつの間にか付き合うことになり、中学卒業となった。

    【第2段】

    そんな太郎が、びっくりしたことがあった。

    太郎よりも10センチは背も低く、
    成績も悪く、足も遅く、顔も岩のような三郎に、
    純子と並ぶかそれ以上のかわいさの彼女ができたのだ。
    さっそく三郎に、どこでそんなかわいい娘を見つけたのかを聞いた。
    三郎が言うには、学校帰りの途中にある女子校の前で告白されたとのことだった

    【第3段】

    翌日、太郎はマネしたくてしょうがなくなる。
    女子高は、太郎の通学路ではないが、帰りに前を通ることにした。
    一度前を通る。
    誰にも声なんてかけられない。
    引き返してまた通る。
    女子達はきゃあきゃあいいながら、岐路についている。
    また引き返して、女子校の校門の中をのぞきながら通り過ぎる。
    15往復ほどしただろうか、
    「あの」と後ろから声をかけられる。
    太郎は心の中でガッツポーズをとりながら振り返る。
    するとそこには制服の警官がたっていた。
    太郎は、この際年上でもしょうがないかと内心思った。
    「君、ここで何しているの。ちょっと署までご同行いただけるかしら?
    最近このあたりて、スカート切られちゃっている子が多発しているの。
    ウロウロしている理由をきかせてもらうわ」

  • #2

    今井 大輔 PNだいのすけ (金曜日, 15 2月 2019 11:04)

    【第1段】

    賭事好夫は、浅はかで間抜けな性格だ。

    たとえばこんなことがあった。

    中学生の頃、自分と同じくらいブサイクな武左郁男が、クラスで一番の人気者の美人の女子に告白し、付き合うことになった(のちにこの二人は結婚するのだが……)
    武左に彼女ができるなら、自分にもできると思いクラスで二番目に人気のあった女子に告白した。
    彼女からの返事はこうだ。
    「あなたみたいなブサイクは精神的にムリ!」
    好夫の青春は一瞬で終わった。

    【第2段】
    それから二十年経った現在、
    そんな好夫が、びっくりしたことがあった。

    いつの間にか痩せてスポーツマン体系になりモテだした郁男と競馬場に行くことになった。
    しかも、郁男は馬主になっていた。
    「じゃあ今日も複勝流しで儲けるとするか!」
    「フクショウナガシ?」
    「お前、複勝流しも知らないのかよ? 宮本輝の小説に書いてあった有名な馬券の買い方さ」
    「おぉ、あれか」
     好夫は知ったかぶりに答える。何のことか知らないが、郁男に訊くのはプライドが許さない。本当に間抜けだ。
    郁男は十万円の元手からレース毎に賭け続け10レース終了後には、一千万円に膨らんでいた。
    「やったぁ今日も成功だ! このお金を元手にまた馬買おうかな? それにしてもなんでお前はまったく馬券を買わなかったんだ?」
    「競馬は見る方が好きなんだ」
     好夫はうそをつく。本当は羨ましくてしかたがなかったのだ。

    【第3段】

    翌日、好夫はマネしたくてしょうがなくなる。
     場外馬券売り場に行く。 郁男のように十万円からは賭けられないので三万円だけ財布に入れて来た。これが今日一日で一千万円にはならないにしても百万円以上になると思っただけで嬉しかった。勝ったお金で何買おうか? どこに行こうか? そんなことを考えただけでワクワクしてきた。
     もともと賭け事の好きな好夫はパチンコ、麻雀は中学校の頃からたしなんでいた。海外の有名所のカジノスポットに行っては睡眠を削り倒れる間際までルーレットを楽しんでいた。
     そんな賭け事大好きな好男であったが馬券を買ったことがないのだ。世界七不思議のひとつに入れてもいいくらいだ。
    マークシートという紙に該当箇所を塗りつぶしてどうやら馬券は買うみたいだった。
     競馬新聞を買い、出馬表を見る。1レース目、なんだかわからないが◎マークが多い馬を一万円複勝で買ってみた。結果、好夫の買った馬が1着に来た。好夫は喜んだ。早速、換金しに行くが冷たい機械音声で「この投票券は的中しておりません」と言われた。好夫は近くにいた案内係の女性を捕まえてどういうことか訊いてみた。
    「あっ! お客様、こちら別会場のレースでございます。只今のレースは東京でお客様が買われたのは京都のレースです」
     好夫はショックを受けた。少し恥ずかしかったが、複勝がどういうものかを案内係に訊いてみた。どうやら複勝というのは三着までに入れば的中みたいだ。
     気持ちを立て直して次の2レース目、好夫はまたも◎の多い馬を一万円買ってみた。結果、見事三着に入り好夫は的中。ガッツポーズをとって早速、換金に行く。
     しかし、またしても「この投票券は的中しておりません」と言われる。
     また、先ほどの案内係の女性を捕まえて訊く。女性は半分呆れかえったような様子で、
    「お客様、こちらは単勝でございますので、一着にならないと当選にはなりません」
     と言われた。好夫は痛恨のミスをおかした。あと一万円しかない。
     3レース目、今度は△のマークの多い馬を一万円買ってみた。これで財布にはお金はもう無い。しかし不思議と好夫の心は落ち着いていた。東京3レース、複勝に一万円。大丈夫だ。これは必ず来る。預言者ではないが、なぜかそう確信できた。
     結果、見事に好夫の買った馬が3着に入った。配当は十倍だった。
    「おっ! 兄ちゃん複勝取ったな」
     後ろからガラの悪そうなおっさんが話しかけてきた。おっさんは、
    「ちょっと、その馬券触らせてくれ、ご利益にあやかりたい」
     と言い、好夫から馬券を取るとダーっとそのおっさんは猛ダッシュで走りだした。彼の姿はあっという間に消えてしまった。呆然と立ち尽くす好夫。
     風は吹いていないが心をすり抜ける風を感じずにはいられなかった。
     その時、ポケットに入れていたスマホが震えていた。育男からのメールだった。
    「お前のことだから、複勝流しを訊きたくても訊けないと思うので、説明を送る。まぁ俺の独り言だと思ってくれ。複勝流しは1レース一点の複勝を買って勝ったお金を次のレースに全部費やす。仮に二倍に賭け続けたとして、2→4→8→16→32→64→128となる。そうやって増やす買い方だ。理論上は7レース目で100倍以上になる。昨日の俺は見送ったレースや配当が思わしくなかったから、10レースで100倍になったんだ。まぁ娯楽だから、そんなに真剣にやらないことがコツかな? また、競馬場に誘ってやるからな。じゃあまた」
     空財布を開いてレシートを取り出して丸めて地面に投げつけた。あぁ一文無しだ。そう心でつぶやき、歩いて好夫は一時間の道のりを帰るのであった。
    (了)
     

  • #3

    本田利久 (土曜日, 23 2月 2019 13:14)

    <裸のアイドル>

    【第1段】

     ハーフアイドルの見栄パリーは華のある美女で容姿抜群。しかし、昔から刹那主義でオツムが弱い(ハッキリ言うと『浅はか』で『間抜け』な)性格が玉にキズだった。

     若い頃は、持ち前の美しさと透明感ある歌声でカバーできたものの。

     現在アラフォーで『イ〇スタ芸人』と化している今では、単なる『いつまでも過去の栄光にしがみついているイタいオバサン』に過ぎなかった。

     例えば、パリーの痛エピソードでこんな話がある。 彼女のイ〇スタ〇ラムを見ると、なるほどファッションは流行遅れなものの、全盛期の彼女と変わらない『綺麗なお姉さん』だ。

     しかし、生出演の音楽番組に出ると――SNSの写真との落差に驚愕させられるばかりだ。売れなくなった昨今、日々不摂生な生活を送っているためか。顔はむくみでパンパン、ウェストを細く見せるためのコルセットは最大限絞っているにも関わらず旺盛に三段腹が主張していた。ノースリーブでミニのワンピースからのぞくボンレスハムのような貫禄ある腕と足。無駄な豊胸は、彼女を余計に女子プロレスラーに見せるだけだった。

     おまけに、あの当時定評だった澄んだ高声は場末の飲み屋のママのようにガラガラになっていて、声が全然出ていない。

     それでも、しれっと後日スリムに修正した写真をアップするパリー。

    「新手のお笑い芸人にでも転向したの?」
    「ボンレスパリーさん、めちゃくちゃ笑える」
    「私の黒歴史はパリーのファンクラブに入ってたこと」

     元パリーの熱烈なファンだった女性ほど毒を吐き、掲示板サイトで悪口や加工画像で花を咲かせている。まさに『愛憎一如』とはこのことか?

    【第2段】

     ある日、そんなパリーがびっくりしたことがあった。

     パリーの長年に渡るライバル(今は立場が逆転)で、同い年のディーバが人気絶頂中にも関わらず引退するというのだ!

     ディーバは生粋の日本人で、パリーに比べると容姿に恵まれないものの、歌は上手だった。しかし、人気は当時のパリーには足元にも及ばなかった。

     それでも彼女はめげずストイックなまでに声質の向上とダンスに励み続けた。ファッションも年齢に応じて変化させていき、ステージの度に高いパフォーマンスを魅せることで世代を越えてファンを魅了し続けた。パリーのようにSNSはやらず、そのストイックな姿勢も好感度の秘訣だった。

    「ディーバさんのような素敵な女性になりたいです」
    「尊敬できるお姉さんって感じ。いつまでもスタイルも歌声もキープしているのはレスペクトです」
    「ディーバさんがいなくなったら、私たち何を楽しみにしたらいいんだろう?」
    「ディーバさんの歌にいつも励まされてきました」

     中高生の女の子たちも目をキラキラ輝かせて慕う程だった――そのディーバが引退してしまう!『ディーバロス』のキャッチコピーがオンラインにもオフラインにも踊った。

     そういうことで、全国ツアーのどの会場も満員御礼。ディーバは引退コンサートだけで、日本の芸能界初ともいえる莫大な興行記録を残した上、人々の記憶からいつまでも消えることのない『伝説』となった。

    【第3段】

     後日、パリーはディーバの真似をしたくて仕方なくなる。

    「私はディーバなんかより、もっとすごかったんだから!」

     人の意見も聞かず、時代も空気も読めない『裸の元歌姫』もマスコミの力を使って過剰な見出しの引退宣言をした。そして、全国の大きな会場をキープしたコンサートの募集にかかるが――人が集まらない!サクラの声は確かに引退を惜しんでいるが、世間はパリーの進退に大歓迎だった。

    「もしかしてディーバのマネ?20年遅すぎ」
    「痛オバさん、もう二度出ないでください」
    「パリーの需要なし」
    「もう過去の人」

    など冷ややかなのが真実だった。

     空席祭の結果に、会場のキャンセル料が発生しないうちに、パリーのイ〇スタ〇ラムは時代遅れのファッションでかわいらしく(つもり)決めた、アヒル口(恐らくほうれい線隠し)の投稿がアップされた。

    「やっぱりこれからもガンガン続けるぜ!パリーってば弱気になっていたの……」

    長たらしい言い訳は割愛するが、要約するとこんな感じだ。

     結局パリーは『止める止める詐欺』で儲けることすらなく赤っ恥のまま『お騒がせ』で終わった。

  • #4

    モンクレール 偽物 (金曜日, 15 3月 2019 11:46)

    ブランド スーパー コピー http://www.pabrand.com/ 上質なポリエステルとコットンの混合素材を使用し、薄手で暖かく、ラグジュアリーな質感のモンクレール 偽物です。モンクレール 偽物 http://www.pabrand.com/brand-165.html スッキリとした細身のシルエットはインナーとしても使いやすく、着回しの幅を広げてくれます。

  • #5

    品田尚宏 PN ヒカミリュージ (火曜日, 19 3月 2019 01:07)

    【第1段】

    デーコン親分(主人公)は、浅はかで間抜けな性格だ。
    たとえばこんなことがあった。
    --------------------
    「さて、皆さんの前には8つの握り寿司があります。めったに食べられない大トロです」
     スタジオの観客席から歓声があがる。
     出演者の1人であるデーコン親分は、外国から招かれた芸人と言うこともあり、寿司は憧れのご馳走である。その口元から、よだれが垂れる。
     しかし、無条件に食べられる訳ではない。その上、彼が居る場所はバラエティー番組を撮影しているスタジオだ。
     8つあるうち、1つだけ大量のワサビを仕込んだ寿司が紛れ込んでいる。
    「ジャンケン、ポン!」
     掛け声とともに、勝敗が決まる。
     対戦相手は、寿司を頬張りながら満面の笑みを浮かべる。日本人があれほど好む寿司だ。さぞ旨いのだろう。と思いながら、どうにかして勝とうとするが、7連敗してしまう。
     残る寿司は1つ。
    「ジャンケン、ポン!」
    「よし、ついに勝ったぞ」
     周囲の静止を振りきって、デーコン親分は寿司を口にする……。
    --------------------

    【第2段】

    そんなデーコン親分(主人公)が、びっくりしたことがあった。
    --------------------
    「おいおい、あんなことしていいのか。店の中で暴れまわってるぞ」
    「もちろん、ダメですよ。あれはドラマの中の出来事ですから」
    「ふーん」
     興味なさげな顔をしてみるが、テレビから目を離せない。
     そこには、自身の力を誇示し、不良達を集めて組織化した男の姿がある。
    「俺が悪い奴らの頂点に立てたなら、真っ先に寿司屋を乗っ取るけどな」
    「いやだから、あれは作り話なんですよ」
    「そうだけどさぁ……」
    --------------------

    【第3段】

    翌日、デーコン親分(主人公)はマネしたくてしょうがなくなる。
    --------------------
    「おう、誰に断って店を出してんだ」
    「保健所です」
    「おう、誰に断って店を出してんだ」
    「ウチはチェーン店です。本部の許可は得ています」
    「おう、誰に断って店を出してんだ」
    「警察呼びますよ」
     思うようにはいかない。
    「おいコラ、俺を誰だと思ってるんだ」
    「親分じゃないですか、こんな店に来てくれるなんて珍しいですね」
     何軒もの寿司屋をめぐり、ようやく、会話が成立する。
    「いやー、ウチの家族は全員が親分のファンでね。ほら、この前ドラマに出ていたじゃないですか。家族で話題にしていたんですよ。今時、こんな大根役者も珍しい。だから、デーコン親分って呼ばれているんですよね」
    「なぁ、大根役者って、どう言う意味だ。ちょっと教えてくれないか」
     質問の答えは返らない。
    「それはさておき、マグロの赤身でも食べていってくださいよ」
     言われるがまま、デーコン親分は寿司を頬張る。
    「おお、実際に見ると違うね。本当に、大量のワサビを一気食いしてるんだねぇ。いやー、生で見られて良かった、良かった」
    --------------------

    (おまけ)
    ヒカミリュージ(作者)は、浅はかで間抜けな性格だ。
    たとえばこんなことがあった。

    このページの前半部分しか読まず、4日間かけてプロットではなく短編小説を書いてしまった。

    https://www.vr-tech.info/2019/03/19/novel01sushi/

    投稿する直前で気づき、大慌てでプロットを書きました。完全に順番が逆です……。
    ワサビ入りの激辛寿司は本編で出す予定でした。
    しかしそれでは、時そば風のオチを作りづらいので、新たな設定を数多く加え、上記のようになりました。
    読んで頂ければ幸いです。

  • #6

    品田尚宏 PN ヒカミリュージ (火曜日, 19 3月 2019 07:37)

    【第1段】

    シャリア・ガーリ(主人公)は、浅はかで間抜けな性格だ。
    たとえばこんなことがあった。

     彼は日本通だと自称しているが、誰も信じてくれない。
     発言に説得力を持たせるため、単身で東京に乗り込もうとするが、飛行機の着いた先は大阪だった。

    【第2段】

    そんなシャリア・ガーリ(主人公)が、びっくりしたことがあった。

     新宿の洋服店の美人店員がテレビ番組で紹介され、街の人々は口を揃えて、こう言う。
    「新宿で女神を見た」
     その店員に一目惚れした彼は、その言葉だけを覚えて日本へ向かう。

    【第3段】

    翌日、シャリア・ガーリ(主人公)はマネしたくてしょうがなくなる。

     再び到着した大阪から深夜バスに揺られ、早朝の新宿に到着する。
     新宿駅から出てくるサラリーマン達に声をかけるが、相手にされない。
     何十人目か分からないほどの人数に声をかけ続け、気づけば北海道にいた。
    「新宿でメガネを買った?」
    「買ってないよ」
    「俺の発音がおかしいのか?」
    「新宿で手紙を書いた?」
    「書いてないよ」
    「まただ……」
    「新宿で毛ガニを買った?」
    「売ってねえよ、カニ欲しいなら北海道へ行け」
     雄大な大自然の中で、彼はつぶやく。
    「ここ、どこですか……」
     視線の先には、地平線が広がっている。海辺まで何日かかるのだろう。通りかがる人もいない。

  • #7

    品田尚宏 PN ヒカミリュージ (水曜日, 20 3月 2019 00:45)

    【第1段】パクリーノ(主人公)は、浅はかで間抜けな性格だ。たとえばこんなことがあった。

    「そこのお嬢さん、今日はサンマが安いよ」
     威勢のよい掛け声に釣られ、魚を捌けないのに買ってしまう。
     生のサンマの調理法が分からないので、とりあえず台所に置いておき、リビングでダラダラとテレビを見続けて現実逃避してしまう。

    【第2段】そんなパクリーノ(主人公)が、びっくりしたことがあった。

     まるで予言するかのように、テレビからサンマの調理法が聞こえてくる。
    「消滅する小骨」
    「強行される加熱調理」
    「次第に壊れてゆくサンマの身は、誰が食べるのか」
    「これは……」
     居眠りをしていたらしく、変な夢を見たらしい。
     テレビを見ると、着物を来た老人が座布団の上で正座し、深々と頭を下げている。舞台の幕が下り、次の番組が始まる。
    「あー、終わっちゃったのか。最初から見たかったなぁ。お吸い物なら、私にも作れそうな気がするし」

    【第3段】翌日、パクリーノ(主人公)はマネしたくてしょうがなくなる。

    「ええと、まずは骨を消し去って、それから火を通すんだっけ」
     しかし、生魚を捌いたことがないので、出刃包丁の使い方すら分からない。
    「え、ちょっと、やだよ。頭を切り落として、腹を裂くんでしょ。想像しただけで怖い」
     困惑する彼女だが、台所の片隅でホコリをかぶっていた調理機器に気づく。
    「あっ、これなら」
     サンマの尻尾を指でつまみ、フードプロセッサの中に押し込み、そのままスイッチを入れる。
     想像よりも遥かに恐ろしい光景を生み出しながら、サンマの頭と内臓は粉砕され、小骨の一本に至るまで砕け散る。
    「あと、お湯を沸かして……。どうしよう、量が多いから、お椀の中に入りきらない……」
     代わりに用意された白い丼の中で、赤黒く変色したサンマの身がお湯の中に散り、水面に脂の膜が広がる。
     壊れ果てたサンマの身を、一体誰が食べるのか。
     それは、誰にも分からない。

    (おまけ?)
    元ネタはもちろん『目黒のさんま』です。時そばプロットの中に放り込み、好き勝手に改変した結果、このようになりました。m(_ _)m

  • #8

    品田尚宏 PN ヒカミリュージ (水曜日, 20 3月 2019 23:59)

    【第1段】トムヤン君(主人公)は、浅はかで間抜けな性格だ。

    「やはり、サンマは目黒に限る」
     その一言を聞いた観客が一斉に拍手し、番組が終わりを迎える。
     テレビを見ていたトムヤン君は、これが決め台詞だと勘違いしたまま来日する。
     せっかく日本に来たのだから、日本らしい物を食べたいと思い、一軒のそば屋に立ち寄る。
    「上に乗っているのはサンマですか?」
     嫌な顔をされる。
    「うちは、鰊(にしん)そばの専門店です。本店は京都で、ここは横浜支店です」

    【第2段】そんなトムヤン君が、びっくりしたことがあった。

     猫舌の彼の前に、熱々の丼が置かれている。
     周りの客の様子を見ながら、見様見真似で食べてみるが、猫舌の彼がマネするのは危険なだけだ。
    「そうか、これはサンマじゃないのか。だからサンマは目白に限る」
     周囲の笑い声に驚く。決め台詞を言ったのに、拍手が起きないことが不思議で仕方ない。

    【第3段】翌日、トムヤン君はマネしたくてしょうがなくなる。

     面白い奴が来ている。と言う噂が広まり、横浜じゅうから人が集まる。
     ある者は徒歩、ある者は自転車、ある者はJR京浜東北根岸線の東神奈川駅止まり、またある者は私鉄の京浜急行三崎口行き、またまたある者は船で横浜港から上陸し……と、本当にハマっ子なのか怪しい面々が店に集まり、トムヤン君を取り囲む。
     困惑する彼を面白がり、いつの間にか酒宴が始まり、夜も更けていく。
     店側も最初は、来客の増加に喜んでいたが、次第に騒ぎ出す酔っ払い達に眉をひそめはじめる。
     店主は無言で茶漬けを出し、それを見たトムヤン君は大声を出して喜ぶ。
    「やはり茶漬けは京都に限る」
    「もう閉店だ、はよ帰れ」

  • #9

    品田尚宏 PN ヒカミリュージ (木曜日, 21 3月 2019 01:42)

    【第1段】甘党の国王(主人公)は、浅はかで間抜けな性格だ。

    「これ、今日のオヤツはなんじゃ」
    「ははっ、遥か遠方の国、ジャパングから取り寄せた桜餅でございます」
    「ジオング?」
    「違います。一部の人にしか通じないネタは止めて下さい。それともあれですか、あんなの飾りです、偉い人にはそれが分からんのです。とまで言わないと納得してくれないパターンですか?だからオタクは嫌なんだ」
    「この国で一番偉いワシに向かって文句を言うとは、いい度胸だ。で、そのジャパリパー……」
    「アニメから離れて考えて下さい」
    「じゃあ、ジュディ・オング?」
    「ファンから怒られても知りませんよ」
    「まだ言いたいことがあるのになぁ」
    「話が進まん、さっさと食え」
     側近は、国王の口の中に桜餅を押し込んで黙らせる。
     普段は温厚なことで知られる側近が、あまりのしつこさに怒ってしまうほど、国王は甘いものに目がない。
     何しろ、本来なら石造りにすべき城や城壁を、スポンジケーキで作るほどだ。そのせいで、この国は慢性的な虫歯と財政難に悩まされている。
    「ふぉのとんかいむりがありゅんちゃないの(この展開、無理があるんじゃないの)」
    「食べ終わってから喋って下さい」

    【第2段】そんな国王が、びっくりしたことがあった。

    「先日食べた桜餅だが、実に良い甘味(かんみ)であった。よって本日より、余は名を改め、サクラと名乗ることにする」
    「え……」
    「どうした、何か問題でもあるのか」
     側近は戸惑いながら進言する。
    「あの国、つまりジャパングでは、古くよりサクラと言う名は女性の名前として知られています。たとえば……」
     日本通の側近は、映画や漫画などに登場する、サクラの名を持つキャラクターの名前を、すらすらと述べていく。
    「お前、詳しすぎないか。さすがのワシも引いたんだが……。だからオタクは嫌なんだ」
    「あんたに言われたくない。これを見て、5人以上の女性キャラの名前が浮かんだ人は、早急にオタクを卒業するように」
    「誰に向かって話しかけているのか、ワシにはさっぱり分からんぞ」
     意味不明な発言をする側近に対し、国王は困惑する。
     そんなある日、日本から招待状が届く。国王は皆を驚かせようと、ある言葉を熱心に練習するようになる。


    【第3段】翌日、国王はマネしたくてしょうがなくなる。

    「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又……」
     流暢な日本語で有名な口上を述べる国王に、出迎えた皆が驚く。
    「人呼んで、風船の虎と申しやす」
    「お供はつらいよ……」

  • #10

    品田尚宏 PN ヒカミリュージ (木曜日, 21 3月 2019 01:45)

    【第1段】中年サラリーマンの武木陽(ぶき・よう)は、浅はかで間抜けな性格だ。

     脚光を浴びたいが、努力は嫌い。それどころか練習すら渋るため、趣味で始めた手品は全く上達しない。
     なにしろ、縦縞のハンカチを手の中で丸めて、パッと広げると一瞬で横縞のハンカチに変化する手品すら失敗するのだ。

    【第2段】そんな武木陽(ぶき・よう)が、びっくりしたことがあった。

    「花見の余興、これじゃダメだなぁ。誰か、いい方法を教えてくれないものか。けど、練習や失敗は嫌だ」
     文句ばかりを言いながら、夜の公園を歩く。
     桜の蕾は大きく膨らみ、あと数日もすれば、ここを満開の桜が覆うだろう。
    「さあさ、お立会い、お立会い」
     すぐ近くで声がする。
    「一つが二つ、二つが四つ、四つが八つの、四四、十六。お次は三十二(ざんに)で、次、六十四(ろくよん)、ぱっと現れ、一二八(いちにっぱ)、お肉ゴロゴロ、二五六(にごろ)の煮込み、まだまだ続くよ、五一二(ごーいちに)、キャベツの千切り、シワもなくなる二千四十二」
     空中に放たれた紙が、粉雪のように小さく切り刻まれ、風に乗って紙吹雪が舞う。
     声の主は大道芸人である。思わず声をかける。
    「あ、あの。今の技って、どうやったらマネできるんですか」
    「む……。拙者はまだ修行中の身。目標である十四回には程遠い……」
    「え、これでも十分すごいのに」
    「すごいのは拙者ではなく、この刀でござる」
    「うわっ」
     むき出しの刃が月光を浴びて輝く。
    「いかなる者にも、一度だけ模倣を許す魔性の刀、その名は妖刀、日闇丸」
    「え、2ちゃんね○?」
    「にちやみまる、でござる。例え素人が握ろうとも、我が師匠の剣技を一度だけ再現できる。しかし、これを持つと警察にマークされる諸刃の剣、素人にはお勧めできない」
    「なんかそれ、聞いたことがあるような……。つまり、その刀を持つと、師匠の動きをマネできるってことなんですね」
    「そうでござる」
    「それ、貸してもらえませんか」
    「なんだと」
    「花見の余興で、何かしらの芸を見せなければいけないんです」
     事情を話し、説得を続ける。
    「分かりました。そちらにも事情がある。ただし、使えるのは一度だけです。遊びであれ本気であれ、この刀が力を貸し、あなたの体を思い通りに動かしてくれるのは、ただ一回のみ。そのことを忘れぬように……」
    「あの、鞘(さや)は無いんですか」
    「そのような物、はるか昔に捨てたでござる」
    「刃がむき出しって、怖すぎるんですけど」
     それに答えること無く、大道芸人は刀を預けて去っていく。

    【第3段】翌日、武木陽(ぶき・よう)はマネしたくてしょうがなくなる。

    「あああ、斬りたい、もっと斬りたい」
     妖刀と呼ばれるだけのことはあり、見ているだけで、思ってもいないことを口走ってしまう。
     とりあえず、ダンボール箱を加工して即席の鞘を作ってあるが、ふとした拍子に鞘ごと手を斬られそうな恐怖に襲われる。
    「本日はお日柄もよく……」
     花見は順調に進み、あっと言う間に余興の時間が迫る。
    「では、そろそろ出し物を……」
     ついに、この時が来たか。と思いながら、刀を抜き、紙を放り投げる。
     縦に裂かれた紙を、間髪入れずに横一文字に斬る。目にも止まらぬ早さで、紙が次々に裁断されていく。途中で怖くなってきたが、体は止まらない。
     元は一枚の紙なのだが、今ではそれが小さな紙くずへと変わっている。これで風さえ吹けば、紙吹雪が綺麗に舞うのになぁ。などと、余計なことを考えながら、刀を振ると、その重さに負け、足元がふらつく。
    「おおっと、危ない危ない」
     周囲から悲鳴が上がる。ほろ酔いの素人が日本刀を振り回しているのだ、これほど危険なことはない。
     数分もしないうちにパトカーが駆けつけ、彼は警察に逮捕される。
    「いやだから、斬るところを見せつけるのが目的で……」
     言えば言うほど、彼の立場は悪くなっていく。春先の取調室に、カツ丼の出前は届かない……。

  • #11

    品田尚宏 PN ヒカミリュージ (金曜日, 22 3月 2019 01:33)

    【第1段】与太郎(主人公)は、浅はかで間抜けな性格だ。

    「いいかい与太郎、お前のために言っているんだ。あたしだって、こんな長々と説教したくないよ。人の話はちゃんと聞くもんだ。いくら江戸っ子だからと言って、話を半分も聞かずに動き出したら大損だよ。そりゃぁ、聞きたくない話も多いだろうさ。だけどね、それを我慢して聞き入れるのが大人ってものなんだ」
    「はぁ……」
    「生返事はいらないよ。今の話の中から、大事な部分を三つほど拾い上げて、まとめてごらん」
    「お前の、話は、聞きたくない」
    「なんだと、もう一度言ってみろ」
     怒られてばかりである。


    【第2段】そんな与太郎が、びっくりしたことがあった。

    「おう、与太郎。景気悪い顔してんなぁ」
     長屋に居づらいが、外に居場所がある訳でもない。そんな与太郎に、声をかける者がいる。
    「く、熊さんじゃねえか」
     見慣れた顔の人物だが、どこか雰囲気が違う。肌ツヤも良く、爪楊枝をくわえ、果ては腹が大きく膨れている。
    「その腹ぁ、どうしたんでぇ」
    「聞いて驚くな、ちょいと御馳走してもらってな」
    「だ、誰に?」
    「湖の女神にだよ」
    「へえっ?」
     思わず、間の抜けた声が出る。
    「まぁ簡単に言うとだな、八の野郎と山奥の湖に行ったら、金の斧と銀の斧を持った金髪の女が居たんだ。こんなべっぴんさん(美人)は珍しい、と褒め称えたら、貴方のような人は嫌いじゃないと言われちまってな。湖の中に引っ張りこまれたんだよ。俺はてっきり、竜宮城にでも連れて行かれるのかと思ったが、ミライとか言う場所に連れて行かれてな。そうそう、江戸と言う名前でもなかった。アズマキョウトと言ったかな。八の野郎が知恵の実を食って、俺は生命の実を食ったんだが、途中で八の分もほしくなって、つい横取りしちまった。ところが八の野郎、ずいぶんとケチなもんで、俺を締めあげて種を吐き出させやがる。その上、その種を丸飲みだぞ。まぁ、そのうち腹から芽が出るんじゃねえか?」
     長々と語る熊さんだが、その息は非常に酒臭い。泥酔直前になるまで酒を飲んでいることが分かる。
    「そらもう、毎日が御馳走三昧、すしざんまいよ」
     熊さんは両手を広げて笑顔を見せるが、与太郎は困惑するばかりである。
    「もっと長く居たかったんだが、炭火焼肉と言う奴は、いまいち口に合わねぇ。煙たい上に、脂っこくていけねえや」
    「それでさっき、惜しまれながら帰ってきたんだが、土産まで持たされちまったよ。これこそまさに、金銀パール、プレゼントってえやつだ」
    「いくらなんでも、デタラメだぁ……」
     あの与太郎が呆れてしまうほど、熊さんは浮かれている。
     これ以上長話には付き合えない。与太郎は振り向き、トボトボと家路につく。
    「金銀パール、ほしかったなぁ……」
     薄汚れた長屋の中で、夕食も取らずに寝転がる。自分は一体、何を口走っているのだろうか。与太郎は自問する。
    「炭火で、焼き肉……。そもそも、肉なんて旨いのか」
     草食系男子、もとい、肉食の習慣のない彼らにとって、牛肉は受け入れがたい食材である。
    「駄目だぁ、気になって眠れやしない」
     熊さんの言葉が、妙に気になる。それに空腹が重なる。
    「飯は明日にしよう」
     起き上がるのも面倒くさいのか、与太郎は次第に居眠りを始め、やがて、布団もかけずに熟睡する。


    【第3段】翌日、与太郎はマネしたくてしょうがなくなる。

    「うう、腹減った」
     目を覚ました時には、すでに昼過ぎとなっており、与太郎は腹の虫に起こされる。
    「何か食い物、ああ、駄目だ。何も無い」
    「何か野菜、じゃなくて野草でも食おう。腹の足しになる」
     行くあてもなく長屋を出て、町外れの道から山へ入る。危険だから単独で踏み入るなと言われている場所だが、今の与太郎に、それらの危機を察知するだけの余裕はない。
     しばらく山道を歩くと、何故かそこには湖が広がり、水辺には七輪が置かれている。
    「あれ……?」
     だが、七輪の中の炭火は、今にも消えそうになっている。慌てて与太郎は息を吹きかけ、必死に火をおこす。
     七輪の上ではサンマが焼かれており、時折滴り落ちる脂が、黒煙となって与太郎にまとわりつく。
    「ゴホゴホ……。誰の分の食事か知らないが、生焼けは良くないよ」
     サンマの焼ける香りは、遥か遠くの目黒まで届き、鷹狩に出かけている殿様の鼻をくすぐる。
     しばらくして、与太郎の所へ殿様の使いが来ると、よく焼けたサンマを持ち去ってしまう。
    「ああ、ちょっと、それは話が違うんじゃないかい」
     必死に引き止めるが、戻ってくる様子すらない。
    「ひどいや」
     半泣きになり、目的を見失いながら、与太郎は七輪の中の炭火に空気を送り続ける。次第に炭は燃え始め、真っ赤な炭が与太郎の額に汗を浮かばせる。
     するとそこへ、さっきの使いが肉を手にして戻ってくる。
    「そこの町人よ、これは殿からの褒美だ。受け取るが良い。ちょうど七輪もある。焼いて食べると良かろう」
    「いや、あの、その、さっきのサンマも、この七輪も、あっしの物じゃねえんですが」
    「謙遜せずとも良い。さあ、受け取れ」
     半ば強引に押し付けられた肉の塊を七輪に乗せ、与太郎は熊さんの言葉を思い出す。
    「湖の、女神。炭火、焼き肉、いやいや、そんな都合の良い話があるわけない」
     周囲には人の気配などない。そのはずなのだが、湖に波が立っている。
     不審に思った与太郎は、湖の方を振り向き、思わず腰を抜かす。
    「う、うわあ。で、出た。あ、あんたが噂の、湖の女神かい」
     そこには、金髪の女性が何も持たずに湖の上に立っているが、何故か与太郎の姿を見て、眉をひそめる。
    「ちょっと、服にニオイが付くでしょ。こんな所で焼き肉しないで」
     今日も与太郎は、怒られてばかりである。