「本官は無実だ」 「おい、止まれ! 止まらないと撃つぞ!」 ハロウィンの夜に警官に追いかけられている人間がいったい何人いるだろうか? 本官がその一人だ。 雪がハラハラと舞い落ちてこようが、海からの寒風が白い肌を直撃しようが、本官にはそんなことは感じられない。なぜならば、汗を吹き出しながら必死で走っているからだ。...
『赤いハイヒール』 「ニコル教授、本当に大丈夫ですか?」 「心配するな、ミッシェル」 秘書のミッシェルは不安げにカーネルサンダースにそっくりのニコル教授を見つめる。...
『歯車くん』 てとせ これは、小学校の教室にある壁かけ時計の中の物語。明日から夏休みだという朝の出来事。 ぼくは、3番の歯車。 「さあ、今日も1日がはじまる。1秒も狂うことなく、24時間、働き続けるぞ」 あれ? おかしいぞ? 友だちの9番の歯車くんがどしどしとやってきた。 「おいやばいぜ、時計が止まってるぜ」...
『あいちゃんの妹』 今泉りえ コンビニ店の前の通りの桜並木はもうすっかり葉桜になって緑がきれいです。 お天気もいいし気持ちのいい季節になりました。午前中で弁当がほぼ完売。 三時の本部からの配達の弁当はいつもより多いかも。 今日は棚卸しだし忙しそう。...